「四国八十八ヶ所霊場お遍路バスツアー」のススメ
今年2016年は四国八十八ヶ所霊場お遍路を始める絶好の機会だとか。
なんでも、丙申(ひのえさる)の閏年に逆打ちで始めると普段より数倍の御利益があるとか。
丙申というのは60年に一度だけ回ってくるわけで、一生のうちで一度だけと言っても過言ではありません。
では、逆打ちって何?
「打つ」というと私にはなにやら俗っぽい臭いがするのですが、
四国ではお寺にお参りすることを「お寺を打つ」と言うらしい。
お遍路の八十八ヶ所霊場の場合は、1番札所から順番に巡っていくことを「順打ち」、
88番札所から逆に巡ることを「逆打ち」と言う。
「逆打ち」がなぜ「順打ち」より御利益があるのかは以下のとおり。
【衛門三郎伝説】
弘法大師空海は、伊予の国の豪商河野衛門三郎の門前で托鉢を行いました。
欲深い衛門三郎は弘法大師を追い返しました。
その後、弘法大師は来る日も来る日も衛門三郎の門前で托鉢行を続けました。
業を煮やした衛門三郎が持っていた竹箒で弘法大師の差し出す鉄鉢を打ち払うと、鉄鉢が地面に落ち、八つに砕け散りました。
その後、八日の間に衛門三郎の子供たち八人が次々と亡くなり、托鉢僧を弘法大師だったと知った衛門三郎は我が家を後にし、弘法大師に許しを請う四国巡礼へと旅立ちました。
幾年の歳月がたち、衛門三郎は四国八十八ヶ所霊場を二十回巡りましたが、弘法大師に巡り会えず、逆に巡ると会えるかと思い、逆回り(逆打ち)を始めました。
しかし、衛門三郎の命も長年の疲労で風前の灯火でした。
死を目前にした衛門三郎を前に弘法大師は今までの労をねぎらいました。
衛門三郎の願い事である故郷伊予の国主、河野家嫡男に生まれ変われるよう「衛門三郎再来」と書いた小石を握らせると、衛門三郎は安堵して息を引き取りました。
その後、伊予の領主に男の子が誕生しましたが、その子の片手が開かず、「南無大師遍照金剛」と唱えると手が開き、中から「衛門三郎再来」と書かれた小石が出てきました。
この衛門三郎伝説が語られるきっかけとなった小石は、今もなお大切に石手寺に保管されています。
衛門三郎が逆打ちして弘法大師にお会いできたのが丙申の閏年と言われています。
(諸説あり)
2年がかりの西国三十三ヵ所巡礼の旅もあと5ケ寺を残して、この情報をキャッチしてしまった私たち。西国三十三ヵ所はちょっと横へ置いとこう。
数倍の御利益に目が眩んで、つい逆打ちのバスツアーに申し込んでしまったのであった。
お遍路逆打ちバスツアースタート
お遍路逆打ちの旅は早朝にバスへ乗り込むところから始まる。
午前8:00ちょうどに京都を出発した観光バスは満員御礼の善男善女を満載して一路四国へと向かった。
ご夫婦らしき二人連れ、女性ばかりのグループ、一人旅とさまざまだが、さすがに若者の姿は無く、平均年齢はおそらく私たちよりも少しばかり上と思われる。
バスツアーというとビールでも飲みながらワイワイがやがやにぎやかに行くイメージがありますよね?
しかし、これは善男善女の巡礼ツアー、バスに乗り込んでしばらくすると般若心経をはじめとする数種の短いお経をまとめた冊子が配られ、まずはみんなで朝のお勤め。
最後の夕方のお勤めまではアルコール厳禁の本気巡礼ツアーなのであった。
バスには添乗員さん二人、先達さんというお参りのベテランがひとり同乗されて、素人の私たちを引率してくださいます。
お遍路に出るなら、各お寺で御朱印をいただくための納経帳や白衣、お軸などを携行して納経の証しをいただくことをオススメしますが、今回私たちは納経帳のみを用意して巡礼に望みました。
私は(小)サイズを選びましたが、同好の士が持っていた(大)のほうが書いていただいたときの見栄えがかなり良かったです。種類もたくさん出ていますので、自分の好みに合ったものを選びましょうね♡
バスツアーでは、まずこの納経用品を添乗員さんが回収に回られます。
納経帳は1冊¥300、今回は3ヶ寺回るので¥300×3 =¥900を添えて添乗員さんにお任せです。
私は今回は納経帳のみですが、お客さんによっては掛け軸も白衣もという人もいて、金額もさまざまです。
バスがお寺に着くと、添乗員さんたち(通常2名)はツアー参加者から預かった納経帳やらお軸やら白衣やらを一身に背負って、納経所へ走り、全員分の納経を済ませてまたバスに駆け戻ります。ほんとご苦労様です(^0^;)
が、このツアーではまずはじめに行く88番札所「医王山 遍照光院 大窪寺」(いおうさん へんしょうこういん おおくぼじ)へお参りする前に、お寺門前にあるお遍路用品販売店に立ち寄り、さまざまなお遍路グッズをまとめて購入するという時間が組み込まれていました。
ここで一気に頭の先から足の先まで「お遍路さん」に変身することも可能です。
お寺に着くと、まず本堂へ進む前に手水舎で身を清めます。
と言ってもせいぜい柄杓で手指を清め、水がきれいであれば口をゆすぐ程度です。
そうして、本堂前へ進み、バスで配られた蝋燭に火をともし、燭台に立てて、お線香を上げます。
蝋燭やお線香の火は必ず自分のライターなどでつけます。
他人の火をもらうと、その方の思いも一緒にもらってしまうことになるとか、怖い怖い・・・ 控えましょう(^0^;)
お線香を上げたら、お賽銭を上げ、お札(バスで配ってもらった)を納めます。
お札 住所・名前・願い事を書いて、各お堂に一枚づつ納めます。
そうして、ようやくお経をあげます。
ツアーの場合は先達さんの号令の元(?)、参加者全員で声を合わせます。
簡単なお経・真言・般若心経を経本を見ながら読みます。
本堂でのお勤めが終わったら、すぐそばにある「大師堂」へ移動します。
そこでまた蝋燭をともす→お線香上げる→お賽銭→お札納め→納経 と一連のお勤めを済ませたらお参りは終了です。
終わったら、各自お手洗いを済ませ、またバスへ駆け込みます。
これを京都から四国へ渡り、3ヶ寺回って日帰りするワケですからかなり忙しいです。
ツアーによっては1泊から1~2週間かけて回るものもありますし。
観光の余地はまったくなく、ただただ修行の一日になります。
はっきり言って、引率してくださる添乗員さんと先達さんのとりまとめる手腕次第で、かなり差が出るツアーになります。
このへんの仕事ぶりを観察するのも毎回の楽しみになってたりして。。。(いぢわる)( ̄∇ ̄)
お遍路バスツアーの醍醐味
こんなふうに、お遍路の場合は観光とは違い、目的を同じくする人たちで行くツアーなので、その目的をいかにお得に効率的に達成するか、ということに主眼が置かれているわけであります。
お参りに必要な、蝋燭、お線香、お札、お御影を入れるファイルなどの小物は無料で配ってくれるし、納経用品の管理もお任せ、先達さんの先導の元、お参りの心得やうんちくなども勉強できます。
あとお一人さまでの参加もチラホラ見かかるので、一人旅が不安な方にもオススメですね。
ただ、やはり自分でしっかりと調べていく必要がないので、いつどこへお参りしたのかを覚えにくいという難点もあります(^_^;)
何度かにわけて結願を目指すツアーなら、1回目だけ参加して、最低限のお遍路用品をGet してお参りの作法を覚えたら、次からは自力で回るのも良いかもですね。(お線香などの用品をもらえるのはおそらく第一回目のツアーだけです)
私たちの場合は仕事のスケジュールとツアーの予定がなかなか合わないことも手伝って、ツアー+自力 でのお遍路になりそうです。
最後に用意しておくと便利かなと思うものをちょこっとご紹介しておきますね。
弾丸ツアーなので、蝋燭、お線香、ライター、経本、お札、お賽銭など必要なものを必要なときにさっと出せる小型のバッグはある方が便利です。
できれば両手が使えるようにたすき掛けできる、またはウエストポーチみたいなもの。
折れやすいお線香・蝋燭、ページの端がくしゃくしゃになりやすそうな薄い経本冊子、お札などを持ち歩くので、けっこう管理がタイヘンです。
個人的にはお札がペラペラの紙製なのでダメージが激しかったりしてます(>o<)
お線香は3本づつ上げるので、取り出しやすいように太めのストローなどに3本づつ小分けしておくととても便利です。
私は手持ちのストローがなかったので、いらなくなった透明ファイルを切ってストロー状に丸めたものを作って使っています。
蝋燭は1回目のツアーでいただいたものがなくなったら、100均で売っている1センチくらいの長さのミニ蝋燭で良いみたいです。
買うときは燭台に挿すときの穴を確認して、穴が小さすぎないものを選びましょう。燭台に挿しにくいです。
蝋燭もお線香もお経を上げている間に燃え尽きる程度の長さがむしろ好ましいとのことでした。途中で火が消えてしまうのがいちばん良くないとか。
ツアーででも行かないと、個人で行って本堂と大師堂にお経を上げて納経帳をいただくなんてなかなかハードル高いですよね。
まずは団体行動で基本を教わりながらお遍路を始めて見てはいかがでしょうか。
四国は自然が豊かで景色も良いところが多いです。
心静かに巡礼するも良し、団体でわいわい巡るのも良し(*^o^*)
Good luck to you !